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利用者負担の医療費控除で国税庁が見解 喀痰吸引に関連して(国税庁サイトより)

2013年01月28日

 国税庁は同庁のサイトで、厚生労働省から照会のあった「介護保険制度下での介護福祉士等による喀痰吸引等の対価に係る医療費控除の取扱いについて」の回答を公開した。この回答は2012年12月21日付けで国税庁から厚生労働省に出されたもので、医療系以外の居宅サービスのみを利用している場合でも、喀痰吸引等を受けた場合には、利用者の1割負担の10分の1が医療費控除の対象となる、という回答となっている。この喀痰吸引等にかかる医療費控除については厚生労働省も1月25日付けで、国税庁の回答を受けた事務連絡を出している。

 医療費控除とは、医療にかかる対価を支払った場合に、個人が確定申告をすることで一定の税金が還付される制度で、介護保険では施設サービス、居宅サービスについてそれぞれ、一定の条件で利用者の1割負担が該当するとされている。そもそも控除の対象は「医療にかかる対価」であるので、介護保険サービスのうちでも「医療系サービス」と呼ばれるサービスが、控除制度の中心となっていた。
 具体的には、居宅サービスを利用した場合の1割負担については、従来から以下のようなルールがあった。
1.医療系サービス(※1)については1割負担の全額が医療費控除の対象
2.医療系サービス以外のサービスの一部(※2)は医療系サービス利用した月と同一月に利用する場合のみ1割負担の全額が医療費控除の対象
3.上記に該当しないサービス(※3)は医療費控除の対象外
 ところが、介護保険制度の平成24年度改正に伴って関係法令が改正され、介護福祉士など医療職ではない介護従事者でも、一定の研修を受けることで医行為である喀痰吸引や経管栄養が行えるようになった。このため、医療系サービス以外のサービスに分類された介護保険サービスでも医療保険の対象となる医行為(喀痰吸引、経管栄養)が発生する可能性が出てきた。
 厚生労働省の照会は、このような制度的な変更に伴って、従来医療系に分類されていなかったサービスで、医行為である喀痰吸引等が行われた場合に、その1割負担にかかる医療費控除はどうなるのか、国税庁の見解を求めたものであった。
 国税庁の回答では、まず、従来通り、
1.医療系サービス(※1)については1割負担の全額が医療費控除の対象
2.医療系サービス以外のサービスの一部(※2)は医療系サービス利用した月と同一月に利用する場合のみ1割負担の全額が医療費控除の対象
とした上で、
3.医療系サービス以外のサービスで喀痰吸引等を提供した場合には1割負担の10分の1を医療費控除の対象とする(ただし、同一月に医療系サービスを使っていて1割負担の全額が医療費控除の対象になる場合には、そちらが優先)
4.いずれにも該当しないサービスについては医療費控除の対象外
という新しいルールを示している。
 今回の医療費控除のルールの変更は、介護福祉士など医療職以外の職員による喀痰吸引等を提供していない事業者には特に影響が発生しない。一方で、介護福祉士等が喀痰吸引等を提供している事業者では、1割負担の10分の1を「医療費控除額」として領収書に明示する必要があるため、新たに領収書などへの記載が必要となる。特に、これまで医療費控除に全く関係のなかった訪問介護の生活援助や特定施設、グループホームなどでも医療費控除の計算が必要になることに注意が必要となる。
 国税庁では医療費控除を1割負担の10分の1とした理由について、実際に各サービスの対価のどの部分が喀痰吸引等の対価に該当するかを算出することは「介護保険制度上不可能」として、実態調査の「喀痰吸引等の所要時間は、(訪問看護の)訪問時総所要時間の約10%」という調査結果を根拠として10分の1とした、としている。
 また厚生労働省は、1月25日付けで国税庁の回答を受けて、喀痰吸引等に関する事務連絡を出した。事務連絡の内容は基本的に国税庁の回答と同様の内容になっている。

介護保険各サービスの医療費控除についてまとめた表は以下の通り。

介護保険制度下における類型 居宅サービス等に要する費用の額
(医療費控除の対象となる自己負担額)
医療系サービスと併せて利用するとき 単独で利用するとき又は医療系サービスと併せて利用しないとき
介護福祉士等による喀痰吸引等の対価 介護福祉士等による喀痰吸引等の対価以外 介護福祉士等による喀痰吸引等の対価 介護福祉士等による喀痰吸引等の対価以外
居宅
サービス
医療系サービス 訪問看護 対象
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
通所リハビリテーション
短期入所療養介護
福祉系サービス 訪問介護(生活援助中心型を除く) 対象 対象(自己負担額の10%) 対象外
訪問入浴介護
通所介護
短期入所生活介護
訪問介護(生活援助中心型) 対象(自己負担額の10%) 対象外
特定施設入居者生活介護
福祉用具貸与 - -
特定福祉用具販売
介護予防
サービス
医療系サービス 介護予防訪問看護 対象
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防居宅療養管理指導
介護予防通所リハビリテーション
介護予防短期入所療養介護
福祉系サービス 介護予防訪問介護 対象 対象(自己負担額の10%) 対象外
介護予防訪問入浴介護
介護予防通所介護
介護予防短期入所生活介護
介護予防特定施設入居者生活介護 対象(自己負担額の10%) 対象外
介護予防福祉用具貸与 - -
特定介護予防福祉用具販売
地域密着型
サービス
医療系サービス 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合) 対象
複合型サービス(医療系サービスを含む組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除く))
福祉系サービス 夜間対応型訪問介護 対象 対象(自己負担額の10%) 対象外
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合及び連携型事業所の場合)
複合型サービス(医療系サービスを含まない組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除く))
複合型サービス(生活援助中心型の訪問介護の部分) 対象(自己負担額の10%) 対象外
認知症対応型共同生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
施設サービス 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型介護老人福祉施設) 対象(自己負担額の2分の1)
地域密着型
介護予防
サービス
福祉系サービス 介護予防認知症対応型通所介護 対象 対象(自己負担額の10%) 対象外
介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防認知症対応型共同生活介護 対象(自己負担額の10%) 対象外
施設
サービス
施設サービス 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 要介護者 対象(自己負担額の2分の1)
介護老人保健施設 対象
介護療養型医療施設

※1 医療系サービスに該当するのは以下のサービス(それぞれの予防サービスを含む)
訪問看護
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
通所リハビリテーション
短期入所療養介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合)
複合型サービス(医療系のサービスを含む組合せにより提供されるもの)

※2 医療系サービス以外のサービスで医療費控除の対象となる場合があるのは以下のサービス(それぞれの予防サービスを含む)
訪問介護(生活援助中心型を除く)
訪問入浴介護
通所介護
短期入所生活介護
夜間対応型訪問介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合及び連携型事業所に限る)
複合型サービス(医療系のサービスを含まない組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除く)に限る)

詳しくは国税庁のページ 介護保険制度下での介護福祉士等による喀痰吸引等の対価に係る医療費控除の取扱いについて:
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/shotoku/121221/index.htm

厚生労働省の事務連絡は三重県のページから確認できる 事務連絡:介護保険制度下での介護福祉士等による喀痰吸引等の対価に係る医療費控除の取扱いについて:
http://www.pref.mie.lg.jp/CHOJUS/HP/kaisei/SVOL/SVOL_307.pdf

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