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11年11月29日
厚生労働省は11月24日、「第86回社会保障審議会介護給付費分科会」を開いた。議題として「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」として、これまでの議論をとりまとめた報告案が提示され、報告書の記載内容を巡って議論が行われた。
議論のとりまとめとして提示された審議報告案については下記に記載の通りで、これまでの議論で提示された厚生労働省案とそれに対する議論の内容をまとめた者となっている。
この報告案に関して、各委員からは特に処遇改善の取扱について意見が合いついだ。報告書案では「処遇改善加算」として介護報酬上の「加算」として処遇改善を行うことが示された。各委員共に処遇改善を行うこと、処遇改善のために介護報酬を充てることについては(条件付きの意見もあるものの)概ね賛成であった。しかし、処遇改善を「処遇改善加算」として介護報酬上の「加算」とし、その要件として厳密な処遇改善を事業者に強制することの是非を巡って、意見が大きく分かれた。
反対側の意見としては「加算にして、支給対象や支給方法を細かく縛る方法には反対。収入の使い道を事細かにきめて監視することは非効率なシステム管理費用がかかる。」(田中滋委員)、「報酬を好きなように使う事業者に良質な職員は集まらない。自然に任せれば悪貨は駆逐される」(武久委員)、「介護についても通常の事業活動の一つなので、(中略)国家が賃金に介入することを認めることはできない」(酒向参考人)など、主に労働市場に厳しい制約を設けることへの反対意見や「処遇改善が介護職にしかいかない。だから(介護職以外の多い)療養型では申請が少ない」(武久委員)、「特定の職種(介護職)だけを重点的に処遇することで、介護の質・キャリア・チームケアができるでしょうか?介護の事業を通じて評価されるべき。」(馬袋委員)といった、加算の要件としての使途の制限が事業所の運営を阻害する、といった意見が出された。「加算ではなく、本体報酬に組み込むべき」(福田参考人)というように、反対側からは加算ではなく、その分の本体報酬の増額を求める意見が相次いだ。
一方、賛成側からは「処遇改善で(報酬に)上乗せする部分がマンパワーの確保に向かうようなシステムを求めたい」(大西委員)、「現時点では国の介入を認めることはやむを得ない」(伊藤委員)、「処遇改善を担保するために加算を設けることはやむを得ない」(木間委員)など、加算でなければ報酬を増額しても処遇改善に繋がらないという意見が出された。
また、そもそも介護報酬ではなく介護保険財政の外で行うべきとの意見についても「これまで交付金でやるべきと言う主張をしてきた。加算でやるということには賛成できない。」(勝田委員)、「確実に目的がはっきりした形で外付けの交付金として行うべき」(伊藤委員)など、今回も様々な主張が聞かれた。
今後は、今回の議論をふまえた内容が次回12月5日の分科会に案として再度提示され、12月5日に審議報告としてとりまとめられる予定。
平成24年度の介護報酬改定は、できる限り住み慣れた地域で在宅を基本とした生活の継続を目指す地域包括ケアシステムの構築を推進するとともに、本年6月に成立した「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」の施行に伴う新たな介護サービス等への対応、診療報酬との同時改定に伴う医療と介護の機能分化・連携を強化することが必要である。
また、本年6月の社会保障・税一体改革成案において描かれた、介護サービス提供体制の効率化・重点化と機能強化に向けて、今回の介護報酬改定において必要な措置を講じることも課題である。
さらに、現在の日本が置かれている厳しい社会経済状況や東日本大震災の影響など、介護保険制度を取り巻く環境にも広く配意が必要である。
介護報酬の全体的な水準については、賃金・物価の下落傾向、介護事業者の経営状況の改善傾向などを踏まえつつ、介護給付費の増加による保険料の上昇幅をできる限り抑制する必要がある一方、介護職員の処遇改善の維持の必要性は減じていないことにも留意して、適正なものとすることが必要である。
当然、高齢者の尊厳を保持し、その有する能力に応じた自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療、福祉サービスを切れ目なく提供する、介護保険制度の基本理念を追求するものでなければならない。
以上のような諸点を踏まえ、当分科会は、本年2月より○回にわたって、平成24年度の介護報酬改定について審議を重ね、平成24年度の介護報酬改定に関する基本的な考え方を以下のとおり取りまとめたので報告する。
なお、介護保険サービスを提供する関係者が参集した「介護保険サービスに関する関係団体懇談会」を3回、6年に1度の診療報酬との同時改定であることを踏まえ「中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会」を1回開催し、審議の助けとした。
平成24年度の介護報酬改定については、以下の基本的な視点に立った改定を行うことが必要である。
1.地域包括ケアシステムの基盤強化
介護サービスの充実・強化を図るととともに、介護保険制度の持続可能性の観点から、給付の重点化や介護予防・重度化予防について取り組み、地域包括ケアシステムの基盤強化を図ることが必要である。このため、
高齢者が住み慣れた地域で生活し続けることを可能にするため、
(1)高齢者の自立支援に重点を置いた在宅・居住系サービス
(2)要介護度が高い高齢者や医療ニーズの高い高齢者に対応した在宅・居住系サービス
を提供する。
また、重度者への対応、在宅復帰、医療ニーズへの対応など、各介護保険施設に求めら
れる機能に応じたサービス提供の強化を図る。
2.医療と介護の役割分担・連携強化
医療ニーズの高い高齢者に対し、医療・介護を切れ目なく提供するという観点から、医療と介護の役割分担を明確化し、連携を強化することが必要である。
このため、
(1)在宅生活時の医療機能の強化に向けた、新サービスの創設及び訪問看護、リハビリテーションの充実並びに看取りへの対応強化
(2)介護施設における医療ニーズへの対応
(3)入退院時における医療機関と介護サービス事業者との連携促進
を進める。
3.認知症にふさわしいサービスの提供
認知症の人が住み慣れた地域で可能な限り生活を続けていくため、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設において必要な見直しを行う。
また、今後の認知症施策の方向性を考える上で、認知症の人への対応について、以下のような流れに沿った基本的枠組みが、全国で構築されることが必要である。
このような基本的枠組みを全国で構築していくためには、
(1)認知症早期診断・対応体制の確立と認知機能の低下予防、
(2)認知症にふさわしい介護サービス事業の普及
(3)認知症ケアモデルの開発とそれに基づく人材の育成
(4)市民後見人の育成など地域全体で支える体制の充実
が必要であり、今後、調査・研究等を進め、次期介護報酬改定に向けて一定の結論が得られるよう議論を行う。
4.質の高い介護サービスの確保
介護サービスの質を評価するため、要介護度等の変化を介護報酬上評価することについて「介護サービスの質の評価のあり方に係る検討委員会」において検討が進められたが、要介護度等は様々な要因が複合的に関連した指標であり、その変化には時間がかかるとともに、利用者個人の要因による影響が大きいとの指摘がなされた。
しかしながら、介護サービスの質を向上させることは、大変重要な課題であるため、まずは、要介護認定データと介護報酬明細書(レセプト)データを突合させたデータベースを構築し、その上で、具体的な評価手法の確立を目指して、必要な分析と検討を継続する。この時、質の評価指標として、要介護度の変化以外の尺度についても検討すべきである。
1.介護職員の処遇改善等に関する見直し
(1)介護職員の処遇改善に関する見直し
平成21年度補正予算において、介護職員の給料を月額平均1.5万円引き上げる、介護職員処遇改善交付金が政策措置として創設されたが、平成23年度までの時限措置であり、基本給の引き上げではなく、一時金や諸手当等により対応している事業者が多いという現状である。
介護職員の根本的な処遇改善を実現するためには、補正予算のような一時的な財政措置によるのではなく、事業者の自主的な努力を前提とした上で、事業者にとって安定的・継続的な事業収入が見込まれる、介護報酬において対応することが望ましい。
介護職員の処遇を含む労働条件については、本来、労使間において自律的に決定されるべきものである。他方、介護人材の安定的確保及び資質の向上を図るためには、給与水準の向上を含めた処遇改善が確実かつ継続的に講じられることが必要である。そのため、当面、介護報酬において、事業者における処遇改善を評価し、確実に処遇改善を担保するために加算を設けることはやむを得ない。
この加算は介護職員の処遇改善が定着したかを検証した上で、次期介護報酬改定の際に見直しを行うべきである。
(2)地域区分の見直し
地域区分については、介護保険制度創設時は、国家公務員の調整手当(当時)に準拠していたことや、地域区分の実態調査結果では現行の地域割り(5区分)より国家公務員の地域手当(7区分)の方が実態に合致していることなどから、現在の特甲地の区分を3分割し、地域割りを7区分にする見直しを行う。また、適用地域や上乗せ割合についても、国家公務員の地域手当に準じた見直しを行う。なお、適用地域について、国の官署が所在しない地域においては、診療報酬における地域加算の対象地域の設定の考え方を踏襲する見直しを行う。
なお、地域区分の見直しに伴い、報酬単価の大幅な変更を緩和する観点から、各自治体の意見を踏まえ、平成26年度までの3年間は経過措置を設定する。
3.居宅介護支援・介護予防支援
居宅介護支援については、自立支援型のケアマネジメントを推進する観点から、特定事業所加算により引き続き質の高い事業所について評価を行うとともに、サービス担当者会議やモニタリングを適切に実施するため、運営基準減算について評価の見直しを行う。
また、医療との連携を強化する観点から、医療連携加算や退院・退所加算について、算定要件及び評価の見直しを行う。併せて、在宅患者緊急時等カンファレンスに介護支援専門員(以下「ケアマネジャー」という。)が参加した場合に評価を行う。
介護予防支援については、地域包括支援センターの包括的・継続的ケアマネジメント支援の機能を強化するとともに、業務負担を軽減する観点から、居宅介護支援事業所への委託制限(1人8件)を廃止する見直しを行う。
ケアマネジメントについては、利用者像や課題に応じた適切なアセスメントができていないのではないか、サービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していないのではないか、医療関係職種との連携が不十分なのではないか、施設におけるケアマネジャーの役割が不明確なのではないか等さまざまな課題が指摘されている。これらの課題に対して、介護報酬における対応に加えて、より根本的なケアマネジメントの在り方の検討が求められている。
次期介護報酬改定までの間に、地域包括支援センターを中心とした「地域ケア会議」等の取組みを通じて多職種協働を推進するとともに、ケアプランやケアマネジメントについての評価・検証の手法について検討し、ケアプラン様式の見直しなど、その成果の活用・普及を図る。また、ケアマネジャーの養成・研修課程や資格の在り方に関する検討会を設置し、議論を進める。
4.訪問系サービス
(1)訪問介護
生活援助の時間区分について、サービスの提供実態を踏まえるとともに、限られた人材の効果的活用を図り、より多くの利用者に対し、そのニーズに応じたサービスを効率的に提供する観点から、45分での区分を基本とした見直しを行う。
自立支援型のサービスの提供を促進し、利用者の在宅における生活機能向上を図る観点から、訪問リハビリテーション実施時にサービス提供責任者とリハビリテーション専門職が、同時に利用者宅を訪問し、両者の協働による訪問介護計画を作成することについての評価を行う。
サービス提供責任者の質の向上を図る観点から、サービス提供責任者の任用要件のうち「2級課程の研修を修了した者であって、3年以上介護等の業務に従事した者」について、段階的に廃止する。また、人員配置基準については、利用者数に応じた基準に見直しを行う。なお、介護報酬の減算及び人員基準の見直しについては、現にサービス提供責任者として従事する者の処遇に配慮する観点から、一定の経過措置を設ける。
1日複数回の短時間訪問により中重度の在宅利用者の生活を総合的に支援する観点から、新たに身体介護の短時間区分を創設する。なお、当該区分の算定に当たっては、早朝・夜間を含めた対応が可能な一定の事業所において、定期的なサービス担当者会議によるアセスメントを義務付けるとともに、定期巡回・随時対応サービスへの移行を想定した要件を付すこととし、次期介護報酬改定において必要な対応を行うこととする。
(2)訪問看護
短時間かつ頻回な訪問看護のニーズに対応したサービスの提供の強化という観点から、時間区分毎の報酬や基準の見直しを行う。
訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問看護について、時間区分及び評価の見直しを行う。
在宅での看取りの対応を強化する観点から、ターミナルケア加算の算定要件の緩和を行う。
また、医療機関からの退院後に円滑に訪問看護が提供できるよう、入院中に訪問看護ステーションの看護師が医療機関と協働した訪問看護計画の策定や初回の訪問看護の提供を評価するとともに、特別な管理を必要とする者についての対象範囲と評価の見直し、さらに、特別管理加算及び緊急時訪問看護加算については、区分支給限度基準額の算定対象から除外する見直しを行う。
(3)訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションについては、利用者の状態に応じたサービスの柔軟な提供という観点から、リハビリ指示を出す医師の診察頻度を緩和するとともに、介護老人保健施設から提供する訪問リハビリテーションについては、病院・診療所から提供する訪問リハビリテーションと同様の要件に緩和する。
リハビリテーション専門職が、訪問リハビリテーション実施時に、訪問介護のサービス提供責任者と同時に利用者宅を訪問し、サービス提供責任者に指導及び助言を行うことについて評価を行う。
訪問リハビリテーションの提供状況の地域格差を是正する観点から、本体事業所と一体となったサテライト型の訪問リハビリテーション事業所の設置を可能とする見直しを行う。
(4)居宅療養管理指導
居宅療養管理指導については、医療保険制度との整合性を図る観点から、居宅療養管理指導を行う職種や、居住の場所別の評価について見直しを行う。
居宅介護支援事業所との連携の促進という観点から、医師及び歯科医師が居宅療養管理指導を行った場合に、ケアマネジャー等への情報提供を必須とする見直しを行う。
小規模の薬局における対応を強化する観点から、緊急時など対応が困難な場合についてのみ、予め連携している別の薬局の薬剤師が提供することを可能とする見直しを行う。
看護師による居宅療養管理指導については、算定要件の緩和を行う 。
5.通所系サービス
(1)通所介護
機能訓練指導員の多くを看護職員が兼務しているという実態や、看護職員が行う看護業務の実態を踏まえ、評価を見直すとともに、利用者の自立支援を促進するという観点から、個別の対応を重視した機能訓練(生活機能向上を目的とした訓練)を適切な体制で実施した場合の評価を行う。
小規模型通所介護については、通常規模型通所介護事業所と小規模型通所介護事業所のサービス提供に係る管理的経費の実態を踏まえ、スケールメリットに着目した報酬設定は維持しつつも、その評価の適正化を行う。
サービス提供時間の実態を踏まえるとともに、家族介護者への支援(レスパイト)を促進する観点から、サービス提供の時間区分を見直すとともに12時間までの延長加算を認め、長時間のサービス提供をより評価する仕組みとする。
あわせて、事業者がより柔軟に事業を実施し、より効果的なサービス提供が可能となるよう、人員基準について、常勤換算方式の導入、単位ごとの配置から事業所ごとの配置へと見直しを行う。
(2)療養通所介護
療養通所介護については、人材の効率的な活用という観点から、利用定員について見直しを行う。
(3)通所リハビリテーション
通所リハビリテーションについては、医療保険から介護保険の円滑な移行及び生活期におけるリハビリテーションを充実させる観点から、リハビリテーションマネジメント加算や個別リハビリテーション実施加算の算定要件等について見直しを行う。併せて、サービス提供時間ごとの評価の整合性を図る観点から、評価の見直しを行う。
また、手厚い医療が必要な利用者に対するリハビリテーションの提供を促進する観点から、要介護度4又は5であって、一定の状態である利用者の受入れを評価する見直しを行う。
なお、サービスの質を評価する観点から、利用者の要介護度の変化を指標とした評価について検討を行ったが、明確な相関関係が認められなかったため、引き続き、評価の方法について検討を進める。
通所系サービス事業所と同一建物に居住する利用者については、真に送迎が必要な場合を除き、通所系サービスに係る送迎分の評価の適正化を行う。
6.短期入所系サービス
(1)短期入所生活介護
短期入所生活介護については、緊急時の円滑な受入れを促進する観点から、緊急短期入所ネットワーク加算を廃止し、一定割合の空床を確保している事業所の体制や、居宅サービス計画に位置付けられていない緊急利用者の受入れについて評価を行う。
また、地域における柔軟なサービス提供を促進する観点から、基準該当短期入所生活介護の医師配置基準及び居室面積基準を緩和する見直しを行う。
(2)短期入所療養介護
短期入所療養介護については、介護老人保健施設における医療ニーズの高い利用者の受入れを促進する観点から、病院、診療所における重度療養管理と同様の評価を行う。
また、緊急時の受入れを促進する観点から、緊急短期入所ネットワーク加算を廃止し、緊急時の受入れを評価する見直しを行う。
7.特定施設入居者生活介護 特定施設入居者生活介護については、看取りの対応を強化する観点から、特定施設において配置看護師による看取り介護を行った場合に評価を行う。 さらに、一定の要件を満たす特定施設については、家族介護者支援を促進する観点から、特定施設の空室における短期利用を可能とする見直しを行う。
8.福祉用具貸与・特定福祉用具販売
福祉用具貸与については、利用者の状態に応じた福祉用具の選定や介護支援専門員等との連携を強化するため、福祉用具専門相談員が利用者ごとに個別サービス計画の作成を義務付ける見直しを行う。
また、介護給付費通知の取組みや福祉用具の価格情報の公表等を通じて、価格の適正化に向けた取組みをさらに推進する。
9.地域密着型サービス
(1)定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応サービスについては、日中・夜間を通じて1日複数回の定期訪問と随時の対応を介護・看護が一体的に又は密接に連携しながら提供するサービスであり、中重度者の在宅生活を可能にする上で重要な役割を担うサービスである。
利用者が、必要なタイミングで必要なサービスを柔軟に受けることを可能にするとともに、事業者の安定的運営を図る観点から要介護度別・月単位の定額報酬を基本とした報酬を設定するとともに、必要な人員・設備・運営基準を設定する。
人員基準については、訪問介護員等及びオペレーターについて、それぞれ常時1名を配置することとし、看護職員については、医療・看護ニーズへの対応のため、常勤換算 2.5名以上の配置に加え常時オンコール体制を義務付ける。なお、定期巡回・随時対応サービス事業所と訪問介護・夜間対応型訪問介護・訪問看護事業所が一体的に運営される場合の職員の兼務を可能とする。
オペレーターの任用要件については、現行の夜間対応型訪問介護と同様の有資格者を配置することとした上で、地域の実情に応じて人材確保が可能となるよう訪問介護事業所で3年以上サービス提供責任者として従事した者を一定程度認める。
また、特に夜間等における人材の有効活用を図る観点から特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等の施設・事業所に従事する夜勤職員について、利用者の処遇に影響のない範囲内において定期巡回・随時対応サービスのオペレーター等との兼務を可能とする。
また、区分支給限度額の範囲内で柔軟に通所・短期入所系サービスを利用者の選択に応じて提供することを可能とするための給付調整を行う。これらのサービス利用時には日割り計算を実施する。
サービス付き高齢者向け住宅等の集合住宅に併設する事業所が当該住宅に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合、地域包括ケアの推進の観点から地域への展開を義務付ける。
なお、サービス付き高齢者向け住宅や、定期巡回・随時対応サービスの実施状況について、適切に実態把握を行い、必要に応じて見直しを行う。
(2)複合型サービス
小規模多機能型居宅介護と訪問看護の複合型サービスについては、利用者の状態に応じた通い・泊まり・訪問(介護・看護)サービスを柔軟に提供する観点から、要介護度別・月単位の定額報酬を基本とした報酬を設定するとともに、医療ニーズの高い利用者に対し、適切なサービス提供が可能となるような人員・設備・運営基準を設定する。
登録定員および従事者の配置数等については、原則として小規模多機能型居宅介護に準ずるものとする。
医療・看護ニーズへの対応のため、看護職員の配置等については以下のとおりとする。
①看護職員は2.5名(うち1名は看護師又は保健師)を基準とし、訪問(看護)サービスの看護職員による24時間対応体制の確保をしている場合には高い評価を行う。
②泊まりサービスの看護職員については、夜勤・宿直の配置の限定をせず、必要に応じて対応できる体制の確保を基準とする。
③柔軟な人員配置のため、訪問看護事業所と一体的な運営をしている場合には、兼務を認める。
④管理者については、常勤専従とし、
(a)認知症の利用者に対する3年以上の介護経験を有し研修を修了した者、又は
(b)訪問看護の知識と技能を有する保健師又は看護師のいずれかを選択できるものとする。
必要な設備、施設については、小規模多機能型居宅介護及び訪問看護の基準に準ずるものとする。
複合型サービス事業所に配置された看護職員は訪問看護指示書により、医師からサービス利用時の指示を受けることで事業所内でも日常生活を送る上で必要不可欠な診療の補助を行い、実施した看護内容等については主治医に報告を行う仕組みとする。
また、事業開始時支援加算について、小規模多機能型居宅介護と同様に平成27年3月末までの時限措置として設定する。
複合型サービスの実施状況について、適切に実態把握を行い、必要に応じて見直しを行う。
(3)小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護については、認知症高齢者等の在宅生活を支える重要なサービスとして更なる普及を促進する必要がある。一定程度の事業規模を確保し、人材の有効活用を進めることにより経営の安定化を図りつつ、利用者にとってより身近な地域でのサービス提供を可能になるよう、サテライト型の小規模多機能型居宅介護事業所を創設する。なお、サテライト型の実施についてはサービスの質の確保を図る観点から、医療・介護・福祉サービスについて3年以上の実績を有する法人であり、本体事業所が安定したサービス提供を行っている場合に限るものとする。
また、事業開始時支援加算については平成24年3月末までの時限措置としていたが、今後増加が見込まれる認知症高齢者等の在宅サービス基盤のさらなる充実を図る観点から、要件について一定の見直しを行った上で平成27年3月末まで継続する。
(4)認知症対応型共同生活介護
認知症対応型共同生活介護については、介護保険制度開始当初は、利用者の平均要介護度が比較的軽度であったが、利用者の平均要介護度の高まりへの対応を強化する観点から、フラット型となっている現行の要介護度別の基本報酬体系を見直すとともに、ユニット数別の報酬設定による適正化を図る。併せて、看取りの対応を強化する観点から、看取り介護加算の評価を見直し、認知症対応型共同生活介護事業所の配置看護師又は近隣の訪問看護事業所との連携により看取りを行う。
さらに、夜間における利用者の安全確保を強化する観点から、夜勤職員の配置基準の見直しを行うとともに、夜間ケア加算の見直しを行う。
また、認知症対応型共同生活介護の在宅支援機能の強化を図る観点から、短期利用共同生活介護及び共用型認知症対応型通所介護の事業実施要件として設定されている「事業所開設後3年以上」の規定の緩和を行う。
10.介護予防サービス
(1)訪問系サービス
介護予防訪問介護については、訪問介護の見直しとの整合性を図る見直しを行う。
また、サービス提供責任者とリハビリテーション専門職との協働による訪問介護計画の作成に対する評価や、サービス提供責任者の任用要件や、人員配置基準について、訪問介護と同様の見直しを行う。
介護予防訪問リハビリテーションについては、訪問リハビリテーションと同様の見直しを行う。
(2)通所系サービス
介護予防通所介護及び介護予防通所リハビリテーションについては、生活機能の向上に資するサービスを効果的に提供する観点から、選択的サービスのうち、複数のプログラムを組み合わせて実施した場合の評価を創設するとともに、通所介護、通所リハビリテーションと同様に、基本サービス費の適正化及びサービス提供事業者と同一建物に居住する利用者について、送迎分の適正化を行う。
また、自立支援に資するサービスを、必要な利用者に適切に提供する観点から、事業所評価加算の算定要件の見直しを行う。
介護予防通所介護については、アクティビティ実施加算を見直し、新たに生活行為向上プログラムを評価するとともに、人員配置基準について、通所介護と同様の見直しを行う。
予防給付は、介護予防に効果があるものに重点化する観点から、次期介護報酬改定に向けて、効果が高いサービス提供の在り方について検証を行う必要がある。
11.介護保険施設
介護保険施設については、「生活重視型の施設」又は「在宅復帰支援型の施設」として、医療提供のあり方を含め、各施設の機能に応じた評価を行う。
(1)介護老人福祉施設
介護老人福祉施設については、対象となる者などの要件を適切に設定した上で、終末期における外部の医師によるターミナルケア等を推進するなど、施設における看取りの対応を強化する。
介護老人福祉施設の入所者の重度化に対応し、施設の重点化・機能強化等を図る観点に立って、要介護度別の報酬の設定を行う。
地方分権一括法等により、「参酌すべき基準」とされた特養の居室定員(1名)については、 あくまでも国が定める基準は、1名(個室)である。また、 要介護高齢者の尊厳の保持と自立支援を図る観点からは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常生活の中で入所者一人ひとりの意思と人格を尊重したケアを行うことが求められている。さらに、多床室と個室では入所者1人当たりのコストに差がある。これらに鑑み、平成24年4月1日以降新設される介護老人福祉施設で、個室以外のものについては、介護報酬を減額することとする。
認知症の症状が悪化し、在宅での対応が困難となった場合の受入れについて評価を行う。
(2)介護老人保健施設
介護老人保健施設については、在宅復帰支援型の施設としての機能を強化する観点から、在宅復帰の状況及びベッドの回転率を指標とし、機能に応じた報酬体系への見直しを行う。
また、在宅復帰・在宅療養支援機能を強化するため、在宅復帰支援機能加算の算定要件の見直しを行う。併せて、入所中に状態が悪化し、医療機関に短期間入院した後、再度入所した場合の必要な集中的なリハビリテーションを評価するとともに、別の介護老人保健施設に転所した場合の取扱いを適正化する見直しを行う。
入所前に入所者の居宅を訪問し、早期退所に向けた施設サービス計画の策定及び診療方針を決定した場合、並びに地域連携診療計画に係る医療機関から利用者を受入れた場合について評価を行う。
また、入所者の医療ニーズに適切に対応する観点から、肺炎や尿路感染症など軽症の疾病を発症した場合における施設内での対応について評価を行う。
認知症の症状が悪化し、在宅での対応が困難となった場合の受入れ及び在宅復帰を目指したケアについて評価を行う。
施設における看取りの対応を適切に評価する観点から、ターミナルケア加算について算定要件及び評価の見直しを行う。
(3)介護療養型老人保健施設・介護療養型医療施設
介護療養型老人保健施設については、医療ニーズの高い利用者の受入れを促進する観点から、機能に応じた報酬体系に見直しを行う。その際、評価を高くする基本施設サービス費については、喀痰吸引・経管栄養を実施している利用者割合及び認知症高齢者の日常生活自立度を算定要件とする。
また、介護療養型医療施設から介護療養型老人保健施設への転換を支援する観点から、有床診療所を併設した上で転換した場合に、一定の範囲内で増床が可能となるよう見直しを行う。
さらに、介護療養型老人保健施設における看取りの対応を強化する観点から、ターミナルケア加算について算定要件及び評価の見直しを行う。
なお、現在実施している施設基準の緩和等の転換支援策については、平成30年3月31日まで引き続き実施する。また、経過型介護療養型医療施設について、平成30年3月31日まで転換期限を延長し、新規指定を認めないこととする。
12.経口移行・維持の取組
介護保険施設における経口維持、経口移行の取組みを推進し、栄養ケアマネジメントの充実を図る観点から、経口維持加算及び経口移行加算については、言語聴覚士との連携を強化し、経口維持加算については歯科医師との連携の算定要件を見直す。
13.口腔機能向上の取組
介護保険施設の入所者に対する口腔ケアの取組みを充実する観点から、口腔機能維持管理加算について、歯科衛生士が入所者に対して直接口腔ケアを実施した場合の評価を行う。
14.介護職員による喀痰吸引等の実施について
社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正によって、介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員等が、一定の条件の下にたんの吸引等を実施することが可能となったことに伴い、介護老人福祉施設及び訪問介護の既存の体制加算に係る重度者の要件について、所要の見直しを行う。
また、介護職員によるたんの吸引等は、看護職員との情報共有や適切な役割分担の下で行われる必要があるため、訪問介護事業所と連携し、利用者に係る計画の作成の支援等を行う訪問看護事業所について評価を行う。
資料等は厚生労働省のページ
該当ページ:第86回社会保障審議会介護給付費分科会資料
資料:資料1:平成24年度介護報酬改定に関する審議報告(案)(PDF:296KB)
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