民医連、「介護1000事例調査」の報告書を公開―9つの困難事例とは
08年11月12日
全日本民主医療機関連合会(以下、民医連)は11月10日、「介護1000事例調査」の報告書を公開した。
この調査は、平成21年度の介護報酬改定を控え、現行制度の下で利用者や家族が抱えている困難、制度の改善課題を明らかにすることを目的に行われたもの。今年9月に中間報告が行われていたが、今回調査全体の最終結果が取りまとめられたため公開となった。
調査は、各施設、事業所の利用者、家族が介護や生活面で抱えている困難事例を担当職員がとりまとめる形で行われた。
詳細は以下の通り。
集約事例のプロフィール
事例は29都道府県、334事業所(75法人)から、728事例が寄せられた。
- 性別
男性:307件(42.2%) 女性:421件(57.8%) - 年齢構成
75歳以上の高齢者が7割(70.1%)を占め、第2号被保険者は60件(8.2%) - 家族構成
「独居」が31.9%、「夫婦のみ」は21.2% - 要介護度
予防給付対象者(要支援1,2)が24.8%、要介護1以下(自立を除く)が41.3%、要介護4,5は計26.0%
事例分析で明らかになった「9つの困難」
- 重い費用負担のため、利用を断念もしくは手控えざるを得ない事態が広がっている
- 認定結果と本人の状態が著しく乖離する傾向が強まっており、その結果、サービスの利用に制約が生じている
- 予防給付への移行や、軽度者に対する福祉用具の利用制限などにより、状態の悪化や生活上の支障を生じている
- 支給限度額の範囲では十分なサービスを受けられない、もしくは支給限度額を超えた利用が必要なため、多額の自費負担が発生している
- 家族との同居を理由とする生活援助の機械的な打ちきりなどの「ローカルルール」の適用、外出支援など、利用に対する様ざまな制約が広がっている
- 重度化が進むが施設入所もままならず、家族介護、介護費用の二重の負担が増大する中で、在宅生活の維持、療養の場の確保に困難をきたしている
- 医学的管理を要する場合の施設入所、在宅生活が困難になっている
- 独居・老々世帯では、在宅での介護、生活の継続に様々な困難をかかえている
- 在宅での重度認知症の生活・介護が深刻化している
全体の特徴
- 利用者の経済状態が非常に厳しくなっている中で、利用料をはじめとする費用負担の問題(1.)が多くの事例で共通していること
- 給付を抑制するしくみによって利用の手控えやとりやめが広がっており、利用者・家族の介護、生活に様ざまな支障をもたらしていること(2.~5.)
- いわゆる「行き場のない」利用者の事例(6.~9.)が過去に実施した調査と比較して数多く寄せられたこと
民医連では、調査結果から介護保険制度の大幅な改善が求められるとし、見直すべき点として、
- 重い費用負担
- 利用の制約につながる様々なしくみ
- 施設などの基盤整備
- 利用者の視点での介護報酬(基準)改定
をあげ、報告書内において、それぞれに対する具体的提言を行っている。
また、報告書では9つの困難ごとの事例を紹介している。
全日本民医連
「介護1000事例調査」報告書(PDF:633KB)