特集・コラム
08年09月03日
みなさんも社会保障カード(仮称)というICカードの導入を厚生労働省において検討されていることはご存知かと思います。
実際に導入されるのはその実現の可否も含めて、もうしばらく時間がかかるでしょう。しかしながら、社会保障制度の今後を見通す上で、知識として概略を知っておくことは無駄にはならないと思います。
今回はこの社会保障カード(仮称)の検討がどのようにされているのか?概略をまとめてみたいと思います。
社会保障カード(仮称)(以下、社会保障カードと記載します)の役割は、一言で言うと、「社会保障制度全体を通じた情報基盤を支える道具」となります。
このカードはICチップを埋め込んだ、一般的なキャッシュカードなどと同じようなカードをイメージしています。そのICチップに個人情報を特定できるキーワード、つまりセキュリティを保持しつつ認証ができる最低限の情報だけが登録されており、用途としては
の役割をひとつにまとめるという検討がされています。
社会保障制度にかかわる主要な証書がひとつにまとまっているわけですが、どのように使うことができ、どんなメリットがあるのでしょう?
利用者(国民)側からみると、情報が電子化され、今までブラックボックス(に近い状態)であった自分の年金記録や診療報酬の内容などがオンラインで確認することが出来ます。
自分の様々な社会保障にまつわる記録やお金の動きが不正に利用されていないか?自分の電子データが不要に公開されたり閲覧されていないか?などを確認できるようになり、所謂「安心と希望の」医療や介護の情報基盤となるわけです。
情報の連携については幅が広がりすぎてしまうため、ここではミニマムなレベルだけで話をとどめておきます。
例としては、転居や転職の際に役所廻りや会社への各種手続き書類の提出などを思い浮かべてみてください。年金はこれ、健康保険はあっち、介護保険証は???というように、一つ一つに対して煩雑な手続きが必要になります。例えばこういう一連の手続きが社会保障カード1枚にまとめられ、情報が一括管理されているため、手続きは最小限でとどめることが出来ます。
活用方法については、実は一番の直接的恩恵をこうむるのは行政サイドかもしれません。何しろ電子データの一括管理により、「ねんきん特別便」の発送をしてみたり、そのための情報整理、不正請求の抑止やチェックなど、軽減される作業や整理される情報の多いこと。そう考えるとスムーズな業務推進、不要な作業の根絶などが実現可能となり、結果として無駄なコストの削減につながります。
これは税負担の軽減の可能性や、支出先の適正化による国民への利益還元が実現できますので、我々としては単に「行政のための仕組みか!?」と考えてしまわないようにしたいところですし、行政サイドは制度確立の前段階で、正しく国民への情報発信をしてもらいたいものです。
情報がまとまったり色々な場面で連携することによる恩恵は想像以上に大きなものになると思います。しかしその効果を発揮するためにはICカードを利用できる環境整備が必要です。
全ての医療機関や介護・福祉事業所、官公庁をセキュリティを確保しながら接続できる環境を作るためにどのくらいの時間と費用が必要でしょうか? また、上記の各所に必要な環境が整った上で、訪問看護や訪問診療など、在宅サービスを実施するときの仕組みはどうすればよいでしょう?
単にICカードを作ってもそれを使用できる環境が、当然のように全国に浸透しなければ充分な効果を得ることは期待できません。
もちろん課題は他にも山積しています。厚生労働省としても環境構築の問題などいの一番に取り上げ、検討が進められています。
賛否両論ある社会保障カードですが、これがまさしく基盤になり、社会保障制度の安定化が実現できるのであれば、私個人としては推進してほしいと考えています。
是非充分な議論をしていただき、国民全体に理解のしやすい説明をした上で実現していただきたいと思います。
厚労省:社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会 第10回 資料
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